グッドジョブ本人

いいものや面白いものがたくさんあふれていたよってことやんわりと残しておく

美輪明宏が話してた「恋」と「愛」の違い、今でも思い出しながら生きてる。

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今のパートナーと「交際しましょう」となってから今月で1年。今日までにその相手と同棲、結婚、出産、育児とわかりやすく階段を登ることができた。もうありがたいことこの上ない。頑丈だし感受性豊かだし、キッチンに立てば自分に作れない料理がぽんぽん生まれるし、もう本当なんて人だろうと日々驚きながらダイニングテーブルで向き合っている。

そんな彼女との初めての遠出は、ちょうど去年の今ごろ横須賀で行われた美輪明宏のコンサート「ロマンティック音楽会2017 〜生きる〜」だった。老若男女、ハンディキャップ持った人も幅広くステージに向き合うコンサート。出だしこそ荒地の魔女の声で「ご紹介にあずかりました…きゃりーぱみゅぱみゅです……」とか言い出すので「どんなスタンスでいればいいです…?」と不安になったが、すぐさまありがたいトークとおどそかな歌の繰り返しで気持ちがほぐれていった。

ショウは二部構成で、前半は人生の酸いも甘いも通り過ぎた人に寄り添う人情コンサートが展開された。例えば自曲「昼メロ人生」の歌唱前に美輪が「結婚して幸せになった人はいます?」と尋ね、客席の沈黙そして微笑を聞き届け、「まあ、何かの間違いで幸せになれた人もいるでしょうけれども」と恋愛結婚の行く末を憐れんで「主婦の皆さまに捧げます」と話して歌唱に入るといった具合だ。そして第二部はバチバチのシャンソンショー。舞台装置も次々に駆使してどんどん観客を惹き込み、ラストにいち女優の人生劇をドラマティックに描いた「老女優は去り行く」でカタルシスにもっていく。身近に感じていたものがラストに大化けしたことで、私たちは「人生…!」「うん、人生…!!」神奈川を出るくらいまでまともに話すことができない状態に陥った。いい夜だった。

そんなコンサートの中で、美輪が興味深いことを話していた。蜜月の時間を過ごしたのに別れのときに荒れる男女を「みっともない」とたしなめていたタイミング。彼が言う。

「それは愛じゃない、恋なんですよ。自分の欲望を押し付けるだけですからね。本当の愛っていうのは相手のことを考える。自分のことはどうなってもいいから相手の幸せを願うという…そういうのが愛なんじゃないかしら」

付き合いたてのカップルはそれを「あらまあ☺」と聞いていたが、なるほど今もよく思い出して過ごしています。

1年という時間はあっという間のような、とても長かったような。そんな時間のいとなみの中、私はその美輪の言葉をたびたび思い出してきた。ひとりではない自分の人生が2年目を迎えられたのは、もしかしたらそのおかげなのかもしれない。これからもすこやかに長々と生き、ときどき美輪さんを拝む機会なども作って、最後は「老女優は去り行く」ばりの人生劇があれば大変さいわいだ。

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